Googleマップは、多くの人々がビジネスやレストランなどの場所を検索し、評価や口コミを閲覧するための重要なツールとなっています。
しかし、時には悪意のある口コミが掲載されることがあり、それが営業妨害(業務妨害)とみなされる可能性があります。
本記事では、営業妨害となる基準・認知件数・事例と、Googleマップでの口コミが削除できる基準について解説します。
目次
営業妨害(業務妨害)と認められる基準
業務妨害罪(刑法234条)とは、他人の業務を妨害する行為を行った場合に適用されます。
他人の業務の邪魔をする行為や、業務の遂行を妨げるような虚偽の情報を提供する行為などが該当します。
- 第233条 偽計業務妨害罪
- 第234条 威力業務妨害罪
- 第234条の2 電子計算機損壊等業務妨害罪
たとえば、Googleマップの口コミを使って、飲食店に関して「あの店で食事したら異物が混入していた」といった虚偽の情報を広めると、第233条の偽計業務妨害罪に該当することが考えられます。
偽の評価やレビュー
他の事業を意図的に悪評するために、偽の評価やレビューを投稿する行為は、業務妨害と認められる可能性があります。
競合他社や他の事業者を不正に批判し、自社の評判を向上させる目的で行われる行為は問題視されます。
評価の改ざん
自社の評価を不正に操作する行為も業務妨害とみなされます。
複数のアカウントを使用して自社に高評価をつけ、競合他社の評価を低く見せる評価の改ざん行為は、信頼性の欠如を招きます。
誹謗中傷や陰口の拡散
他の事業者に対して誹謗中傷を行い、その評判を悪化させる行為は業務妨害となります。
口コミの内容が虚偽でも、他の事業者の信用を傷つける意図がある場合は問題視されます。
業務妨害罪の認知件数
2012年から2021年にかけて、信用毀損・威力業務妨害罪の認知件数は、2021年に若干減少していますが、横ばいな傾向が見れらます。
年次 | 認知件数 |
---|---|
2012年 | 1,076 |
2013年 | 1,127 |
2014年 | 1,013 |
2015年 | 1,175 |
2016年 | 1,118 |
2017年 | 1,023 |
2018年 | 824 |
2019年 | 940 |
2020年 | 1,038 |
2021年 | 781 |
偽計業務妨害の事例
下記は偽計業務妨害の事例になります。
飲食店名挙げ「コロナ」と書き込み 業務妨害容疑で逮捕
県警捜査1課と米沢署によると、男は3月2日午前1時50分ごろ、インターネットの掲示板サイトに米沢市内の飲食店の実名を挙げて「(店が)新型コロナ」などと書き込み、この店の業務を妨害した疑いがある。
引用: 2020年4月10日:飲食店名挙げ「コロナ」と書き込み 業務妨害容疑で逮捕
熊本地震デマツイートで逮捕者
熊本地震が発生した直後に、「動物園のライオンが逃げた」などとウソの内容をツイッターに投稿し、動物園の業務を妨害したとして、神奈川県に住む20歳の男性が7月20日、偽計業務妨害の疑いで逮捕された。
引用: 2016年7月21日:熊本地震デマツイートで逮捕者 「抑止のための『見せしめ』では」弁護士が指摘
Googleマップの口コミ削除基準
次にGoogleマップの口コミ削除基準について解説します。
Googleマップの口コミ削除基準は、Googleビジネスプロフィールのヘルプ「禁止および制限されているコンテンツ」に記載されており、このポリシー違反に該当する否かで削除判断がなされます。
↓
禁止および制限されているコンテンツ – マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー ヘルプ
虚偽の情報
口コミが明らかな虚偽の情報を含んでいる場合、それは削除される可能性があります。
例えば、存在しない商品やサービスを述べたり、事実と異なる評価を行ったりする場合です。
個人情報の公開
口コミが他人の個人情報を公開している場合、その口コミは削除されます。
個人情報とは、氏名、住所、電話番号などの個人を特定する情報を指します。
迷惑行為や攻撃的な表現
口コミが他の人や事業に対して迷惑行為や攻撃的な表現を含んでいる場合、削除の対象となります。
人種差別的な表現や脅迫的な言葉を使ったり、誹謗中傷を行ったりする口コミは、Googleのポリシー違反に該当すると見なされます。
さらに詳細な削除基準(抵触イメージを添えて)については下記で紹介しています。
よろしければ、下記もあわせてご確認ください。
Googleビジネスプロフィールの口コミ削除基準を紹介
結論
Googleマップの口コミは、営業妨害となる場合があります。
そして虚偽の情報や個人情報の公開、迷惑行為や攻撃的な表現が含まれている口コミは削除される基準に該当し、営業妨害や不正な競争行為を行う者は、削除の対象となる可能性があります。
ただし、Google側は事実確認を行わないため、事実と異なる内容や営業妨害・名誉毀損と思われる内容でも、ポリシー違反となる言葉や表現を使用しているかどうかのチェックしか行いません。
お店側が削除基準に該当したと判断しても、あくまで削除の可否はGoogle側が判断しますので、必ず削除される訳ではありませんのでご了承ください。
削除の可否についての判断は、早くて数日でわかる場合もありますが、遅くても1~2週間かかることがあります。
Google側のシステム処理でタイムラグがある場合でも、1ヶ月あればその判断・結果が出されるでしょう。